No−248

無帰還IVC型MCプリアンプをStudyする


その2





以前の内容はこちら




・以前からかなり時間がたった。


・ので、その後の状況。

最初に、No−248 Simple TR MCプリアンプ。


















・2SA606、2SC960を使用した 簡素版無帰還IVC型MCプリアンプ



















・ちょっとだけ改変してある。

・回路はこう。

・初段下の定電流回路のベース電圧を決めるツェナーダイオードをHZ6C2からHZ3C1に変更し、エミッタ抵抗を5.6kΩから2.2kΩに変更。

・終段2SC960のエミッタ抵抗を560Ωから330Ωに変更するとともに、ツェナーダイオードHZ3C1を新たに挿入

・出力の抵抗を560Ω+100Ω+1kΩボリュームから100Ω+100Ω+1kΩボリュームに変更。

・SAOC入口の抵抗を30megΩから10megΩに変更。

・要すれば、電流ゲインをやや増やし、その結果的に電圧ゲインをやや減らしたもの。
・それを観るシミュレーション結果。



・まず、下が電圧ゲイン。



・緑のV(vb)/V(in)が、終段ダーリントンTR入口=イコライザー素子までの電圧ゲインで、赤のV(out)/V(in)が終段ダーリントンTR出口での電圧ゲイン。



・終段ダーリントンTRでボリューム最大で△5dB近く電圧ゲインが減っていることが分かる。



・上が、電流ゲイン。要はこれがNo−248 Simple TR MCプリアンプのgmで、0dBがgm=1Sである。



・なので、1kHzにおいては、ボリュームR34=1kΩの時には約9.5dB=3S、100Ωの時には約3.5dB=1.5S
、10Ωの場合は約−11dB=0.28S、1Ωの場合は約30dB=0.03S、0.1Ωの場合は約50dB=0.003Sである。
・前がどうだったのか分からなければ、電流ゲインをやや増やし、電圧ゲインをやや減らしたことが明らかにならない。



・従前の回路で同じくシミュレーションをする。
・結果はこう。



・下が電圧ゲインだが、改定前は終段ダーリントンTRの電圧ゲインはほぼ0dB〜2dB程度だったものが、上の改定後では△3.5dB以上減少していることも分かる。



・次に電流ゲインだが、この表上の電流ゲインの結果と改定後の結果を見比べると、約4dB程度ゲインが上昇していることが分かる。
・改定後の、1kHzの0.3mV、1mV、2mV、3mV、4mV、5mVサイン波入力における、出力電圧及び出力電流を観る。
・上が電流出力、下が電圧出力の状況。



・入力5mVまで問題なく対応している。



・良いね。
・が、良いことばかりではない。

・1mV、1kHzサイン波入力における歪率を観ると、

・Total Harmonic Distortion=0.051907%。

・従来型では、
0.010226%であったから5倍以上悪くなった。

・が、従来型より電流ゲインが4dB大きくなったのだから、入力を−4dB≒0.63倍=0.63mVにして測定しなければ、比較にならないので、やってみたところ、


・Total Harmonic Distortion=0.031952%。

・残念ながら、3倍以上となった。

・終段2SC960のエミッタ抵抗を減らしたため、電流帰還、要するにNFB量が減ったためだろう。

・が、無帰還であるし、この単純な回路で十分な出力をもたらすMCプリアンプとなっているのだから、不満はない。
・SAOCの入口の抵抗を30megΩから10megΩに変更したのは、本体の変更に伴い、低域のピーク周波数を適正にするためのもの。



・これに伴い、電源オン直後に出力電圧に現れる過渡的電圧が0Vに収束するまでの様子も変わる。



・その状況を、カートリッジVTCを繋いでいる場合と、繋いでいない場合でシミュレートする。
・結果。



・緑がカートリッジVTCを繋いでいる場合、赤が繋いでいない場合。



・従来型に比較すると、過渡電圧もやや小さくなり、0Vに収束するまでの時間も半分程度に短くなっている。
   
次に、No−248 Simple MOS MCプリアンプ。


















・2SJ77、2SK214を使用した 簡素版無帰還IVC型MCプリアンプ



















・これもちょっとだけ改変してある。

・回路はこう。

・終段2SK214のソース抵抗を560Ωから330Ωに変更するとともに、ツェナーダイオードHZ3C1を新たに挿入

・出力の抵抗を560Ω+100Ω+1kΩボリュームから100Ω+100Ω+1kΩボリュームに変更。

・SAOC入口の抵抗を30megΩから10megΩに変更。

要すれば、No−248 Simple TR MCプリアンプと同じ。

・これも、電流ゲインをやや増やし、その結果的に電圧ゲインをやや減らしたもの。
・それを観るシミュレーション結果がこれ。


・まず、下が電圧ゲイン。


・緑のV(m1g)/V(in)が、終段MOS入口=イコライザー素子までの電圧ゲインで、赤のV(out)/V(in)が終段MOS出口での電圧ゲイン。


・終段MOSでボリューム最大で△5dBゲインが減っていることが分かる。


・上が、電流ゲイン。要はこれがNo−248 Simple MOS MCプリアンプのgmで、0dBがgm=1Sである。


・なので、1kHzにおいては、ボリュームR34=1kΩの時には約8.0dB=2.5S、100Ωの時には約3.5dB=1.5S、10Ωの場合は約11.3dB=0.27S、1Ωの場合は約30.5dB=0.03S、0.1Ωの場合は約50.5dB=0.003Sである。


・測定誤差と言うか読み取り誤差があるので、大体Simple TR MCプリアンプと同じだが、全体的にやや小さい。


・これは、2SK214のgmが2SC1400+2SC960によるダーリントンTRによるgmよりやや小さいためだろう。


・従前の回路で同じくシミュレーションをする。
・結果はこう。



・下が電圧ゲインだが、これと比較すると、改定前のMOSの電圧ゲインはほぼ△5dB以上減少していることも分かる。



・次に上の電流ゲインだが、この表上の電流ゲインの結果と改定後の結果を見比べると、約5dB程度ゲインが上昇していることが分かる。
・改定後の、1kHzの0.3mV、1mV、2mV、3mV、4mV、5mVサイン入力における、出力電圧及び出力電流を観る。
・上が電流出力、下が電圧出力の状況。



・入力5mVまで問題なく対応している。
・1mV、1kHzサイン波入力における歪率を観ると、

・Total Harmonic Distortion=0.122325%。

・従来型では、
0.03106%であったから4倍悪くなった。

・が、従来型より電流ゲインが5dB大きくなったのだから、入力を−5dB≒0.56倍=0.56mVにして測定しなければ、比較にならないので、やってみたところ、


・Total Harmonic Distortion=0.067753%。

・TR版と同様、残念ながら、2倍以上となった。

・これも、2SK214のソース抵抗を減らしたため、電流帰還、要するにNFB量が減ったためだ。しょうがない。
・SAOCの入口の抵抗を30megΩから10megΩに変更したことに伴い、電源オン直後に出力電圧に現れる過渡的電圧が0Vに収束するまでの様子を観る。



・カートリッジVTCを繋いでいる場合と、繋いでいない場合でシミュレート。
・結果。



・緑がカートリッジVTCを繋いでいる場合、赤が繋いでいない場合。



・従来型に比較すると、過渡電圧もやや小さくなり、0Vに収束するまでの時間も半分程度に短くなっている。
   
・続いて、No−248 Simple SIT MCプリアンプ。


















・2SK63を使用した 簡素版無帰還IVC型MCプリアンプ


















・これも同様にちょっとだけ改変してある。

・回路はこう。

・終段2SK63のソース抵抗を560Ωから330Ωに変更するとともに、ツェナーダイオードHZ4B2を新たに挿入

・出力の抵抗を560Ω+100Ω+1kΩボリュームから100Ω+100Ω+1kΩボリュームに変更。

・SAOC入口の抵抗を30megΩから10megΩに変更。

・2SK63のドレイン―ゲート間に取り付けていた5pFを撤去。

要すれば、No−248 Simple TR MCプリアンプ、No−248 Simple TR MCプリアンプに同じ。

・これも、電流ゲインをやや増やし、その結果的に電圧ゲインをやや減らしたもの。
・それを観るシミュレーション結果。


・まず、下が電圧ゲイン。


・緑のV(m1g)/V(in)が、終段SIT入口=イコライザー素子までの電圧ゲインで、赤のV(out)/V(in)が終段SIT出口での電圧ゲイン。


・終段SITでボリューム最大で△6dBゲインが減っていることが分かる。


・上が、電流ゲイン。要はこれがNo−248 Simple SIT MCプリアンプのgmで、0dBがgm=1Sである。


・なので、1kHzにおいては、ボリュームR34=1kΩの時には約8.7dB=2.7S、100Ωの時には約2.8dB=1.38S
、10Ωの場合は約12dB=0.25S、1Ωの場合は約31.2dB=0.026S、0.1Ωの場合は約51dB=0.0028Sである。


・大体Simple TR MCプリアンプやとSimple MOS MCプリアンプより、全体的にやや小さい。


・これは、2SK63(=2SK79)のgmが2SK214のgmよりやや小さいためだろう。
・従前の回路で同じくシミュレーションをする。
・結果はこう。



・下が電圧ゲインだが、これと比較すると、改定後のSITの電圧ゲインはほぼ△5dB以上減少していることが分かる。



・また、終段SITによる電圧ゲインは、従前は0dB程度であったものが、改定後は△4dB以下になっている、従前型では2SK63のドレイン―ゲート間に発振対策として5pFが必要だったものが、改定後は必要なくなったのは、このためであろう。



・次に上の電流ゲインだが、この表上の電流ゲインの結果と改定後の結果を見比べると、約5dB程度ゲインが上昇していることが分かる。
・改定後の、1kHzの0.3mV、1mV、2mV、3mV、4mV、5mVサイン入力における、出力電圧及び出力電流を観る。
・上が電流出力、下が電圧出力の状況。



・入力5mVまで問題なく対応している。
・1mV、1kHzサイン波入力における歪率を観ると、

・Total Harmonic Distortion=0.149289%

・従来型では、
0.036179%であったから4倍以上悪くなった。

・が、従来型より電流ゲインが5dB大きくなったのだから、入力を−5dB≒0.56倍=0.56mVにして測定しなければ、比較にならないので、やってみたところ、


・Total Harmonic Distortion=0.08309%。

・TR版、MOS版と同様、残念ながら、2倍以上となった。

・これも、2SK68のソース抵抗を減らしたため、電流帰還、要するにNFB量が減ったことによるので、しょうがない。
・SAOCの入口の抵抗を30megΩから10megΩに変更したことに伴い、電源オン直後に出力に現れる過渡的電圧が0Vに収束するまでの様子を観る。



・カートリッジVTCを繋いでいる場合と、繋いでいない場合でシミュレート。
・結果。



・緑がカートリッジVTCを繋いでいる場合、赤が繋いでいない場合。



・従来型に比較すると、過渡電圧は半分程度になり、0Vに収束するまでの時間も半分程度に短くなっている。
   
・続いて、No−248 Simple 404A MCプリアンプ。


















・WE404Aを使用した 簡素版無帰還IVC型MCプリアンプ


















・これも同様にちょっとだけ改変してある。

・回路はこう。

・終段404Aのカソード抵抗を560Ωから330Ωに変更。

・出力の抵抗を560Ω+100Ω+1kΩボリュームから100Ω+100Ω+1kΩボリュームに変更。

・SAOC入口の抵抗を30megΩから10megΩに変更。

・404Aのプレート―グリッド間に取り付けていた10pF+10pFを、左チャンネルは撤去、右チャンネルは5pF+5pFに変更。

要すれば、これまでのSimple MCプリアンプ達に同じ。

・これも、電流ゲインをやや増やし、その結果的に電圧ゲインをやや減らしたもの。



・ただし、404Aのモデルがなく、C3Gのモデルで代用しているので、以下どこまで正しいかは不明。
・それを観るシミュレーション結果。


・まず、下が電圧ゲイン。


・緑のV(Vg)/V(in)が、終段C3G入口=イコライザー素子までの電圧ゲインで、赤のV(out)/V(in)が終段C3G出口での電圧ゲイン。


・終段C3Gでボリューム最大で△8dBゲインが減っていることが分かる。


・上が、電流ゲイン。要はこれがNo−248 Simple 404A MCプリアンプのgmで、0dBがgm=1Sである。


・なので、1kHzにおいては、ボリュームR34=1kΩの時には約7.65dB=2.41S、100Ωの時には約2.5dB=1.33S
、10Ωの場合は約12.3dB=0.24S、1Ωの場合は約31.5dB=0.026S、0.1Ωの場合は約51.5dB=0.0026Sである。


・Simple TR MCプリアンプやSimple MOS MCプリアンプ、そして、Simple SIT MCプリアンプのgmよりやや小さい。
・従前の回路で同じくシミュレーションをする。
・結果はこう。



・下が電圧ゲインだが、従前から終段C3Gの電圧ゲインは△3dBとマイナスだったことが分かるが、改定後のSITの電圧ゲインは更に△5dB程度減少して、トータル△8dBとなっていることが分かる。



・こういう事なので、Simple 2SK63 MCプリアンプと同様に404Aのプレート―グリッド間の10pF+10pFはもう不要だろうと、これを外したのだが、左チャンネルはそれで良かったが、右チャンネルはそうは行かず、5pF+5pFが必要で、これがないと発振する。何とも難しいものだ。



・次に電流ゲインだが、この表上の電流ゲインの結果と改定後の結果を見比べると、約4dB程度ゲインが上昇していることが分かる。
・改定後の、1kHzの0.3mV、1mV、2mV、3mV、4mV、5mVサイン入力における、出力電圧及び出力電流を観る。
・上が電流出力、下が電圧出力の状況。下の電圧出力のC3Gのグリッド電圧V(vg)は−110V付近なので、110Vを加算して見やすく表示したもの。



・入力5mVまで問題なく対応している。
・1mV、1kHzサイン波入力における歪率を観ると、

・Total Harmonic Distortion=0.223679%。

・従来型では、
0.060393%であるから4倍近く悪くなった。

・が、従来型より電流ゲインが4dB大きくなったのだから、入力を−4dB≒0.63倍=0.63mVにして測定しなければ、比較にならないので、やってみたところ、


・Total Harmonic Distortion=0.1407651%。

・残念ながら、2倍以上となった。

・これも、C3Gのカソード抵抗を減らしたため、電流帰還、要するにNFB量が減ったことによるので、しょうがない。
・SAOCの入口の抵抗を30megΩから10megΩに変更したことに伴い、電源オン直後に出力に現れる過渡的電圧が0Vに終息するまでの様子を観る。



・カートリッジVTCを繋いでいる場合と、繋いでいない場合でシミュレート。
・結果。



・緑がカートリッジVTCを繋いでいる場合、赤が繋いでいない場合。



・従来型に比較すると、過渡電圧は半分程度になり、0Vに収束するまでの時間もやや短くなっている。



・が、実機ではこうはならない。このシミュレーションでは、電源オン後真空管のヒーターが徐々に暖まって恒常状態になる過程がすっぽり抜けている。



・で、実機で電源オンから何秒で0Vに収束するかを測ってみると、案外ヒーターが暖まるまでの時間は短く、結果、15秒程度で収束する。
   

・以上4台の簡素版無帰還IVC型MCプリアンプ

・DL−103用のMCプリアンプがこんなに簡素に成り立っている。奇跡のよう。

・音も素晴らしい。

・以上4台の簡素版無帰還IVC型MCプリアンプに音の違いはあるか?

・と言うと中々難しい。

・駄耳のせいなのが一番大きいが、4台とも、音を作っている中核がカートリッジVICの2SK97であるということがある。

・2SK97のgmとイコライザー素子のインピーダンスで、1kHzで60dB=1000倍のゲインが稼がれているのだ。

・TRやMOS、SIT、そして真空管を用いた終段は、バッファに過ぎない。

・そのバッファの違いが耳で分かるか?と言うことだが、まぁ、ほぼ分からない。(爆)

・が、敢えて言えば、SIT 2SK63を用いたNo−248 Simple SIT MCプリアンプの音がなかなか好ましい。

・SITは登場した途端に消えてしまったが、音は良いものだったのだ。

・私は、V-FET(SIT)2SJ18−2SK60パワーアンプ兼パワーIVCとSIT(V−FET)2SJ20A−2SK70Aパワーアンプ兼パワーIVCと、V-FET(SIT)起用のパワーアンプ兼パワーIVCを有しているが、理由はそういうこと。

・さらに、敢えて言えば、MOS 2SK214を用いたNo−248 Simple MOS MCプリアンプの音も良い。

・効率の悪いSITを消滅に追いやった素子だが、音も端正と秀才的な素子だ。

・次にTR。2SC960(2SC959も同じもの)を用いたNo−248 Simple TR MCプリアンプ。

・近ごろは先生もTRに回帰されている。先生がはるか昔に選び抜かれたTRだ。音が良いのは当たり前。高解像度と仰られるがその通りかな。


・そして、真空管。WE404Aを用いたNo−248 Simple 404A MCプリアンプ

・残念ながら、如何にも真空管と言った感じの音はしない。奥行きが深い空間感が出るが、基本的に半導体を用いた他のSimple MCプリアンプ達と同様の音がする。要するに良い。

・総じて、どれも最近の光カートリッジとそれ用に製作した光カートリッジ用プリアンプが奏でる音に肉薄又は匹敵する音がする。ので、今後も生き残るだろう。

  




2024年6月21日








ほんのちょっと試聴



・AC−3300のS字アームで鳴らすDL−301U。



・DL−103、DL−103RとこのDL−301Uが、4台の簡素版無帰還IVC型MCプリアンプで鳴らすカートリッジ。



・カートリッジVIC、簡素版無帰還IVC型MCプリアンプ、そしてバッテリードライブ2SA627−2SD188パワーアンプ兼パワーIVCを、電流伝送して聴くDL−301U。



・とても良い音だ。



・が、光カートリッジに比べれば、ややピントが緩く、全体に僅かに雑味があるようにも感じるのは、磁気歪だろうか?と、光カートリッジを知った頭が考えてしまう。
・ところが、0 sideforceでDL−301Uを鳴らすと、






・雑味は消滅し、ピントがぴたりとあって、低域はよりタイトに伸び、全体に空間の透明感、音の実在感、立体感がぐっと高まる。






・まるで光カートリッジを聴いているかのよう。
0 sideforceが、DL−103、DL−103R、そしてDL−301Uの3台のMCカートリッジ、及び、4台の簡素版無帰還IVC型MCプリアンプに、より豊かな命を与えてくれる。






・0 sideforce。






・手に入れて良かった。



2024年9月14日







さらにほんのちょっと試聴



・0 sideforceにDL−103Rを取り付けてレコードを聴く。



0 sideforceは取り付けるカートリッジの能力をもれなく引き出してくれるので、カートリッジの音の違い、良さの違いがより明瞭になる。



・と言っても、カートリッジはDL−103、DL−103R、そして、DL−
301Uしかないのだが。(爆)



・ところで、写真の通り、DL−103Rのシェルに取り付けた2SK97によるカートリッジVICの回路には、進の110Ωが付いている。
・拡大するとこうだが、DL-103Rの出力にシリーズに110Ωを入れて2SK97のゲートにつないでいるものだ。
・こうしたのはいつだったかと思い、自分のHPを探ると、最早13年前のNo−215EQに遡るものだった。


・当時、こう書いている。


・No−215EQは大変良い。


No−215EQで聴くアナログレコード再生は素晴らしく、同じK式でも従前のイコライザーでは最早聴く気になれない。すなわち今回は本当に後には戻れない。はっきり言って、長年K式をやってきて、先生が毎回おっしゃるこのフレーズを本当にそうだと思ったのは今回が初めてである。

・よって、カートリッジはDL−103以外にないと悟っていない凡夫の私としては
、手元のDL−103RとDL−301Uも2SK97シェル内蔵型に改造してしまった。

・これらも当然今回のNo−215EQで聴きたい。

・何故かDL−103Rにはススム抵抗が付いている。

・のは、こういう余計なことをするとありがたくも変な現象に遭遇するもので、DL−103とDL−301Uでは回路図の通りで全く問題ないのに、DL103Rの場合だけ回路図のとおりでは何故か発振を起こすようでIdが安定せず変な電流値になる。そのためやむを得ず2SK97のゲートに下図のように110Ωを挿入したのである。これで何もなかったかのように安定する。たまたま私の持っていた個体の組み合わせの場合のみの現象かもしれないが、もし同じような現象に遭われた場合はこのようにすると解決するかもしれない。ただ、この箇所は非常に高インピーダンスなので、ススム抵抗のような大きな抵抗はアンテナを広げているようなもので、このままでは場合によってハムノイズ等を拾いやすい。ので、いずれ小さなチップ抵抗にでも交換しなければなるまい。

・で、問題は2SK97である。というのは、一台のNo−215EQで複数のVIコンバーター付きカートリッジを聴くためには、それらに用いる2SK97はIdssがほぼ同じものにしなければならないからだ。勿論、オリジナルのようにISCを可変式としてカートリッジ毎に毎回調整して使用することを厭わないのであればそんな必要は無いのだが、ずぼらなわたくしとしては一々調整するのはイヤなので、ほぼIdssの揃った2SK97を手持ちの中から選抜した。その過程でこの我がNo−215EQの初段差動用2SK97も交換することになってしまった。

・結果がこの回路図のとおりなのだが、それでもIdssにはそれなりの差がある。ので、やはり毎回出力オフセットの調整をしないとだめかなぁ。。。と思ったのだが、やってみるとこの程度のIdssの差はSAOCが全て呑み込んでくれてオフセットはどの場合でも0Vに押さえてくれるのであった。ありがたや、ありがたや、SAOC様。
と言う経緯でDL-103R用のVICには110Ωがついた訳だが、なんとあれから13年も経ってしまった訳だ。

・しかも3種のカートリッジVIC付きカートリッジ達も13年前のまま。

・物持ちが良い?(爆)


・ところで、ふと思ったのだが、当時のEQアンプはNo−215だが、今は、No−248から生み出した
簡素版無帰還IVC型MCプリアンプ。


簡素版無帰還IVC型MCプリアンプの場合も、DL−103Rの場合はこの110Ωが必要なのだろうか?と。


・こういうことは、不具合でも生じなければ試す気にはならないのだが、大した手間でもないので試してみようという気になった。


・結果、私の簡素版無帰還IVC型MCプリアンプの場合、DL−103Rの出力から2SK97のゲートへのシリーズ抵抗110Ωは必要ないことが分かった。
・ので、進の110Ω抵抗は撤去。

・ところで、当時この3種のカートリッジの音についてこう書いている。

・DL−103も良いが案外DL−301Uも良いカートリッジである。DL−103より設計が新しく、また針先が異なることもあって明らかに広帯域で情報量も勝る。また巷で言われるほどポップス系に振ったようなドンシャリでもなく極めて真っ当なバランスの音である。が、エナジー感では丸針のDL−103には僅かに負ける。帯域を欲張らず中域にエネルギーを集めて太書きに端正に音を出してくるのがDL−103で、これが実に実体感をそれらしくする。し、帯域は十分でかまぼこではない。片やDL−103RはDL−103オリジナルの太書きに端正に音を出してくる部分はそれなりに残したままに、DL−301Uのような高域の伸び感や爽やかさが感じられ、なかなかに上手いバランスでこれもまた魅力的だ。

・と、No−215EQで聴くとカートリッジの特徴も一聴瞭然。
が、No−215EQで聴くこれらのカートリッジの音の差は極めて些細なことで、どれで聴いても眼前に現れる演奏家の演奏そのものに心奪われ、深く楽しむだけなのである。


・中々に的確な評。

・0 sideforceは、カートリッジの能力をあからさまにするので、更に素晴らしく、面白く、聴くのが楽しい。



2024年9月18日







その後の12




・私の4台の簡素版無帰還IVC型MCプリアンプ。



もう1台増えてしまった。



・写真左側にあるのは、No-170ハイブリッドMCプリアンプと簡素版無帰還404A MC プリアンプ。



・で、写真中央一番上の1台が、新しい
簡素版無帰還IVC型MCプリアンプ。



・ケースの厚さからすると、左側と同様に真空管が使われているように思えるがどうか?

・その回路はこう。



・なるほど、今度はWE396Aか。



・WE396Aは双三極管なので、その内部の三極管をパラにして必要な電流を稼ぐ。



・が、±18Vという低い電源電圧(実際のプレート−カソード間電圧は10V程度)で、WE396Aはまともに動作するのか?
・そのゲイン−周波数特性を観る。



・ボリュームR34を0.1Ω、1Ω、10Ω、100Ω、1kΩにしたパラメトリック解析。



・出力抵抗のR33の出力がアースされているのは、出力先が電流入力(入力抵抗≒0Ω)であるため。
・結果。

・まともな結果が得られる。WE396A、大丈夫そう。

・まず、下が電圧ゲイン。

・緑のV(Vb)/V(in)が、イコライザー素子までの電圧ゲインで、赤のV(out)/V(in)が終段WE396A出口までの電圧ゲイン。

・電圧ゲインは1kHzで60.46dB、20Hzで79.27、20kHzで40.8dB。

・上が電流ゲイン。要はこれがNo−248 Simple WE396A MCプリアンプのgmで、0dBがgm=1Sである。

・なので、1kHzにおいては、ボリュームR34=1kΩの時には6.61dB=2.14S、100Ωの時には1.44dB=1.18S
、10Ωの場合は約12.32dB=0.24S、1Ωの場合は約32.55dB=0.024S、0.1Ωの場合は約52.5dB=0.0024Sである。

Simple 404A MCプリアンプより、やや小さくなった。

・が、DL−103の1kHzでの出力を0.3mVとし、このMCプリアンプの後ろにIV変換抵抗10kΩのパワーIVCが繋がれるとすれば、その出力電圧は、
ボリューム=R34が1kΩの場合、0.0003×2.14×10000=6.14V、R34が100Ωの場合、0.0003×1.18×10000=3.54Vとなるので、十分な出力が得られる。

・ので、十分だ。
・1kHzの0.3mV、1mV、2mV、3mV、4mV、5mVサイン波入力における、出力電圧及び出力電流を観る。
・上が電流出力、下が電圧出力の状況。



・入力5mVまで問題なく対応している。
・終段WE396Aは、カソードに対するグリッドの電位がプラスのA2級動作をしている。



・そのパラのプレート電流とグリッド電流の推移はなかなか面白いので、表の一番上に追加してみた。



・プレート電流とグリッド電流の和で出力電圧と出力電流が作り出されていることが分かる。



・ただし、ただのシミュレーション。信じてはいけない。
・1mV、1kHzサイン波入力における歪率を観ると、



・Total Harmonic Distortion=0.243597%。



・あまり良くないが、簡素版無帰還404A MC プリアンプ同程度なのでまぁ良いのではないかな。
・電源オン直後に出力に現れる過渡的電圧が0Vに収束するまでの様子を観る。



・カートリッジVTCを繋いでいる場合と、繋いでいない場合でシミュレート。
・結果、緑がカートリッジVTCを繋いでいる場合、赤が繋いでいない場合。



・どちらも10秒以内に0Vに収束している。全くOK。

・以上のシミュレーションが正しければ、±18Vという低電圧で、WE396Aによる簡素型無帰還MCプリアンプが出来そうだ。

・なので、早速基板の製作にかかる。

・出来上がってきた基板。



・なんと、真空管がWE396Aではない。



・サブミニチュア管Philips 6111WA。(RCA6111GE6111



・WE396Aが手元にないわけではないが、WE396Aがシミュレーション通りにA2級動作でこんなに電流を流して使えるものかどうか分からないし、



・実は、既にNo−248簡素型無帰還MCプリアンプに変身済みのNo−217(もどき)MCプリアンプ群の中で、唯一残っていた6111WAを起用したNo−217(もどき)MCプリアンプを、遂に解体し、それに使っていた6111WAを起用して、No−248 簡素型無帰還6111MCプリアンプに改変することにしたものである。



・そのため、モデルのない6111に変えてWE396Aで動作のシミュレーションをしたもの。



・が、WE396Aのμは35、6111のμは20なので、もとより正確ではない。まぁ、この程度のシミュレーション内容ならそれなりに使える結果にはなるのではないかな。と言う事。
・6111WAは双三極管だがペア管ではない。


・今回、管内の二つの三極管をパラにして所要の電流出力を確保するので、なるべく大きな電流が流せ、かつ、管内の二つの三極管の特性が揃ったものを選別するのが吉。


・なので、右図回路で、手持ち10本の6111WAのプレート電流値を測定したところ、右表の通りとなった。


・結果、表のNo−5とNo−6の6111WAを選別し起用。
・ケースと電源部レギュレーターは6111WAを起用したNo−217(もどき)MCプリアンプのものをそのまま使うので、あっという間に取り付けと配線は終わり、動作確認もOKで終了。



・と、No−248簡素型無帰還MCプリアンプは1台増えたが、No−217(もどき)MCプリアンプが無くなったので、トータルでMCプリアンプは増えていない。と、自らに言い訳。
・電源部レギュレーターの回路。






・電池式GOAパワーアンプその2用に製作した由来を持つレギュレーター。






・とても古いが、なお現役で働いてもらう。












・アンプ部の回路は下図の通り。






・たったこれだけの回路でDL−103用のMCプリアンプが成り立っている。我ながら信じがたい。
・早速、試聴。






・これも何のノイズも(聞こえ)ない。






・深く広い空間。繊細でダイナミック。






・命と情。






・0 SideForceが引き出す、DL−103Rの全能力の生み出す音楽がそのまま聴こえてくる。






・基本的に他の簡素型無帰還MCプリアンプ達に同じ。






・が、
他の簡素型無帰還MCプリアンプに比較して、音が少しだけ奥に引っ込む感じがする。






・その分音空間の奥行き、広がりが出て、爽やかな鳴り方という感じ。






同じく真空管を用いた簡素版無帰還404A MCプリアンプもそんな感じがあるが、どちらも素晴らしい






・Philips ECG JAN 6111WA。良い真空管だ。






・近頃ようやく少しく涼しくなってきて、ヒーターの点いた真空管の眺めは良さ気。






・音は勿論、見栄えも良く、楽しい。



2024年10月17日







その後の13



・No−248もどき無帰還IVC型MCプリアンプのStudyで、Simple型に進む前に作った、言うなれば検討過程におけるNo−248もどき無帰還IVC型MCプリアンプ。



・回路は下図の通り。



・Simple型に大分近づいているが、カレントラインアンプをまだ温存しているなど、Simple型に到達する一歩手前の無帰還IVC型MCプリアンプ。



・が、既に使うこともなくなった。




・ので、解体。

     
・しかしながら、使える部品までお蔵入りにするのは忍びない。





・ので、またしても、No−248もどき簡素型無帰還IVC型MCプリアンプを拵えてしまった。なかなか台数が減らない。(爆)





・簡素型無帰還IVC型MCプリアンプにしては、何故か2SK97が基板上に乗っている。





・のは、今回は趣向を変え、カートリッジVICを使わずMCカートリッジの出力をそのまま受けて、MCプリアンプの方でVICを行うようにするもの。





・カートリッジ−MCプリアンプ間を電流伝送することによって最上の音を得ようという、No−215以来の電流伝送の理念には反するが、ヘッドシェルに2SK97を取り付けるのも、使い勝手としては面倒なのも事実。加えて、裸のDL−103、DL−103R、DL−301Uを使えないのは不便。





・なので、裸のDL−103、DL−103R、DL−301Uをそのままつなげるものとするとともに、カートリッジ−MCプリアンプ間の電流伝送の効果を確認する意味でも、今回はこうしてみる。





・となれば、チャンネル毎に2SK97を用いるのは無駄で、2SK43を用いれば良いところだが、生憎手持ちの2SK43のランクが全て6でIdssが大きすぎて使えない。ので、2SK97。

・その回路はこう。



・2SK97(シミュレーション上は2SK117で代用)が基板内にあることを表現しようとして、これまでのものとちょっと書き方を変えてある。が、実は何も変わっていない。J1にゲート抵抗820kΩが付いたことだけの違い。



・早速、ゲイン−周波数特性を観る。
・下が電圧ゲイン。



・緑のV(m1g)/V(in)が、終段MOS-FET入口=イコライザー素子までの電圧ゲインで、赤のV(out)/V(in)がMOS-FET出口での電圧ゲイン。



MOS-FET入口=イコライザー素子までで60.5dBの電圧ゲインがある。



・上が、電流ゲイン。これが今回のNo−248 Simple TR−MOS with VIC MCプリアンプのgmで、0dBがgm=1Sである。



・なので、1kHzにおいては、ボリュームR34=1kΩの時には約8.8dB=2.75S、100Ωの時には約3.6dB=1.52S
、10Ωの場合は約−11.2dB=0.27S、1Ωの場合は約30.48dB=0.03S、0.1Ωの場合は約50.4dB=0.003Sである。
・1kHzの0.3mV、1mV、2mV、3mV、4mV、5mVサイン波入力における、出力電圧及び出力電流を観る。
・上が電流出力、下が電圧出力の状況。



・入力5mVまで問題なく対応している。



・良い。
・1mV、1kHzサイン波入力における歪率を観る。



・Total Harmonic Distortion=0.110331%。



・無帰還であるし、この単純な回路で十分な出力をもたらすMCプリアンプとなっているのだから、不満はない。
・電源オン直後に出力電圧に現れる過渡的電圧が0Vに収束するまでの様子を観る。
・電源オン後、4秒ちょっとで収束する。
     
・タカチのケース、OS49−20−33BXを新調し、ケーシング。






・レギュレーター基板は、そのまま移設。同じAT-1Sでも随分と色が違う。






・動作確認も問題なく終了。

・回路はこう。

 
・レギュレーターは、我がNo−128からAll−TR版No−217、そして、Simple型に到達する一歩前のNo−248もどき無帰還IVC型MCプリアンプと引き継いできた、2,000年以来の古いものをそのまま使用。もう24年になる。



・回路的には、”オーディオDCアンプシステム”に載っているものだから1989年以前のもの。



・上の簡素型無帰還6111MCプリアンプのレギュレーターはもっと古いものだが、これはそれに次いで古いもの。



・基板の色が違うのもまぁ当然。
     
・その音はどうか?






・0 SideForce+MITCHAKU-L+DL−103で聴く。






・と、これも何のノイズも(聞こえ)ない。







・し、DL−103はとても音の良いカートリッジであることが理解できる。井の中の蛙だが。






・光カートリッジにも引けを取らないように思えるのは、まぁ、駄耳のせい。か、0 SideForce+MITCHAKU-Lのお陰。






・問題は、カートリッジVIC方式の無帰還IVC型MCプリアンプと比べてどうか?だが、・・・






・う〜ん、カートリッジVIC方式に比較するとやや鮮明度に劣るかな、とか言わないといけないところだが、これも良くて、良く分からん。(爆)




2024年11月14日







その後の14(K97→K43)



・有り難くも、ランク2の2SK43が入手出来た。



・ランク2の2SK43のIdssの範囲は2.7mA〜5.5mAだが、上手い具合にIdssは4mA程度。



・となれば、デュアルFETの2SK97を片チャンネルだけ使うのは余りにもったいないので、早速2SK43に交換する。



・注意点は、2SK43のピン配置は右図のとおりなので、ソースとゲートの足をたがえないように。
・2SK97を回収し、2SK43を取り付けた。

・回路はこう。

・2SK97が2SK43になっただけ。

 
・果たして音はどうか?
 
   
・レコードを聴いてみよう。






・音は、全く変化なし。






・2SK97は2SK43をデュアルにしたもので、中身はそもそも2SK43だから当たり前。






・実に良い音。



2024年11月20日








その後の15(簡素型無帰還SIT MCプリアンプwithVIC化)



・カートリッジVICを使わずMCカートリッジの出力をそのまま受けて、MCプリアンプの方でVICを行うようにした、上の簡素型無帰還TR-MOS MCプリアンプwithVICの音が存外に良く、カートリッジVICを受ける簡素型無帰還MCプリアンプ達に引けを取らない



・何という事か。



・ランク2の2SK43も多少入手出来たので、この際、No−248 Simple SIT MCプリアンプも、2SK43を起用した簡素型無帰還SIT MCプリアンプwithVICに改変し、本当にそうなのか確かめる。

・その回路はこう。

・勿論、2SK97が2SK43になっただけだが、その2SK43がプリアンプ基板の方にある。

・要するに、カートリッジ−プリアンプ間は電流伝送ではない。

・果たして音はどうか?
   
・やはり、光カートリッジは良い。






・が、簡素型無帰還SIT MCプリアンプwithVICも、明瞭さでやや負けるかだが、命と情の表現は同様に素晴らしく、別に引けを取らないように思える。カートリッジVICを受けるNo−248 簡素型無帰還MCプリアンプ達にも何も劣るところはない。






・No−215で、カートリッジ−プリアンプ間の電流伝送による音にかなり感激したのに、今回は
カートリッジ−プリアンプ間の電流伝送をしていないにも関わらず、全くがっかりするところがない。






・困ったね。






理由は不明だが、まぁ、年のせいで駄耳度が上がったせいかな。






・で、この簡素型無帰還SIT MCプリアンプwithVIC上の簡素型無帰還TR-MOS MCプリアンプwithVICとともに、裸のDL−103、DL−103R、DL−301UをそのままつなげるMCプリアンプとして生かすことにしよう。



2024年11月23日







その後の16(またしても)



・No−248もどき無帰還IVC型MCプリアンプのStudyで最初に作ったのが、このオール半導体式No−248もどきIVC型MCプリアンプ。



・回路は下図の通り。



・最初に作ったものだし、と、残しておいたのだが、簡素(Simple)型に移行していないものは、遂にこれだけとなった。



・このまま残すのもいいのだが、回路を見るとやはり無駄が多いと思えてしまう。



・ので、遂に解体。
  
・して、またも、No−248もどき簡素型無帰還IVC型MCプリアンプに改変してしまおう。



そして、これもカートリッジVICを使わず、MCカートリッジの出力をそのまま受けて、MCプリアンプの方でVICを行うものにする。



・終段電流増幅には、MOSの2SJ79と右のSIT、2SK79を起用しよう。79コンビ。



・回路は下図の取り。



・従来は±7.2Vのバッテリー電源だったが、バッテリーの維持管理も面倒なので、AC電源方式として、他のNo−248もどき簡素型無帰還IVC型MCプリアンプ群共用の電源を使用し、レギュレーターはLM317TLM337Tにより、各チャンネルそれぞれに給電する。
  
・そのゲイン−周波数特性を観る。
・下が電圧ゲイン。



・緑のV(u1g)/V(in)が、終段2SK79のゲート=イコライザー素子までの電圧ゲインで、赤のV(out)/V(in)が出力までの電圧ゲイン。



2SK79のゲート=イコライザー素子までで60.5dBの電圧ゲインがある。



・上が、電流ゲイン。これがこのNo−248 簡素型無帰還MOS−SIT MCプリアンプwith VICのgmで、0dBがgm=1Sである。



・1kHzにおいては、ボリュームR34=1kΩの時には約8dB、100Ωの時には約2.7dB
、10Ωの場合は約−12dB、1Ωの場合は約31.2dB、0.1Ωの場合は約51.1dB。
・1kHzの0.3mV、1mV、2mV、3mV、4mV、5mVサイン波入力における、出力電圧及び出力電流を観る。
・上が電流出力、下が電圧出力の状況。



・入力5mVまで問題なく対応している。



・良い。
・1mV、1kHzサイン波入力における歪率を観る。



・Total Harmonic Distortion=0.141926%。



・無帰還であるし、不満はない。
・DL−103の定格出力0.3mV、1kHzサイン波入力の場合はどうか。

・Total Harmonic Distortion=0.042178%。

・全ての簡素型の0.3mV1kHzサイン波入力での歪率を並べると、
・TR-TR
 Total Harmonic Distortion=0.014682%。
・TR-MOS

 Total Harmonic Distortion=0.032652%。
・MOS-MOS
 Total Harmonic Distortion=0.036177%。

・MOS-SIT
 Total Harmonic Distortion=0.042178%。
・TR-SIT
 Total Harmonic Distortion=0.044334%。
・MOS-404A(C3G)
 Total Harmonic Distortion=0.066704%。
・TR-6111(396A)
 Total Harmonic Distortion=0.072559%。

・と、ちょうど真ん中。
電源オン直後に出力電圧に現れる過渡的電圧が0Vに収束するまでの様子を観る。
・電源オン後、4秒ちょっとで収束する。

・と、上手く行くので、早速製作にかかる。

 
・あっという間に、基板が出来上がる。












・ケース類は従来のものをそのまま使用するので、基板も同じAT-1W。











・回路がシンプルなので、レギュレーターも同一基板上に余裕で乗る。
・ケースに入れ、所要の配線と調整を行うと、問題なく一発で動作。






・早速音出し。
・これもノイズは(聞こえ)ない。












・素晴らしい。












・WithVICで、カートリッジ−MCプリアンプ間が電流伝送ではないにも関わらず、ダイナミックで優しく、喜び悲しみ、命と情がひしひしと伝わってくる。泣きたくなるほどに。












・カートリッジはDL−103Rなのだが、まるで光カートリッジのようで、参るね。



2024年12月28日







生産終了



・No−248 簡素型無帰還MOS−SIT MCプリアンプwith VICで聴くDL−301U。



・良い音だ。

・が、2024年末で遂に生産終了。



・これが無くなっても、世間的にはどうでも良いことか。



・我が家では、注意深く、大事に、余生を永らえさせよう。



2025年1月17日